第2回:ターゲット設定(ペルソナ)
「デザインから学ぶ、ゼロから始めるブランディングの基礎」
ペルソナって何?
実はペルソナ設定、すでにやっていたんです。
「ペルソナって何?そのカタカナの、専門用語、出た!出た!直ぐに難しいこと言い出して…」
と思ったそこのあなた、気持ちはよ~くわかります。
ビジネス用語って難しいですよね?でも、心配しないでください。
『「捨てられないチラシ」を作る秘訣』や『ダサい名刺は今日で卒業!ビジネスの印象を劇的に変えるデザイン術』を読んでくれた皆さまなら、実は、すでにペルソナ設定しているんです。
「でも、実際なにそれ?」となりますよね?では、わかりやすく説明していきましょう。
もう知ってるよって方も、焦らずに一緒におさらいしてくださいね。
1. 自分のビジネスに合ったターゲット設定から始める
チラシを作るとき、ラブレターのようにとお話しましたが、ラブレターの相手がちゃんと分かっていなければ、そもそもラブレターなんて書けませんよね?
そうなんです。
ペルソナ設定はラブレターの相手なんです。相手のことがわからなければ、思いは伝えることすらできません。
「30代の女性」なら、「子育て中のママ」なら誰でも良いってことはありませんよね?
ペルソナ設定は、ただターゲットを大まかに決めることではないのです。
最初にしっかりと考えなければいけないのは、「自分のビジネスが何を提供しているか」「その価値を届けたいのは誰か」という部分です。
自分のビジネスの目的や方向性に合わせてターゲットを設定することが重要です。
たとえば、
もしあなたのビジネスが「地域密着型で地元の食材を使った商品」を提供しているとします。
ターゲットは「地元に住む30代の主婦」という設定ではなく、もっと具体的なニーズに基づくターゲットを絞り込むことが大切です。
「忙しく子育てをしている30代の女性」「食材の安全性を重視する30代後半の主婦」など、ニーズを特定してターゲットを絞ることが、メッセージやデザインに対して具体性を持たせるとよいでしょう。
2. ペルソナ設定を自分のビジネスにどう活かすか
ペルソナ設定は、ターゲットに合わせたメッセージやデザインを作るためだけではなく、自分のビジネスの方向性や価値に合ったターゲット層を絞り込むためです。
ターゲットをぼんやりと「30代女性」に絞っただけでは、何を伝えるべきかが不明確になり、メッセージが届かないまま終わってしまいます。それでは困りますよね?
ターゲットを絞り込むことでメッセージが一貫し、ビジネスの効果を高めることができます。
ターゲット層がどんなニーズ、つまりは欲望や希望を持っているのかを深く理解することが、成功に繋がるのです。
仮にあなたが、「地元の食材を使った商品」を提供するビジネスをしているとしましょう。
例えば、地域で採れた新鮮な野菜や果物を使って、地元の直売所やオンラインで販売する、といったビジネスです。
この場合、ターゲットを「30代女性」に絞り込む理由は、その地域の30代女性が抱える特定のニーズに応えるためです。たとえば、忙しい毎日を送っている30代女性は、家族に安全で新鮮な食材を提供したいと考えていますが、買い物にかける時間をできるだけ短縮したいとも考えているかもしれません。
そのため、ターゲット設定を「地元に住む30代主婦」にするのではなく、「忙しい子育て中の30代女性」に絞ることで、彼女たちのニーズに応える商品やサービスを提供できるようになります。
もしあなたのビジネスが「時短アイテム」を提供するものであれば、ターゲットを「忙しい30代女性」に絞り込む理由も明確です。
仕事や家事に追われる中で、彼女たちが求めているのは、「効率的に生活を便利にするアイテム」だからです。
ターゲットを絞り込んだ理由が明確でないと、そのターゲット設定がピンと来ません。そのため、しっかりとビジネスの方向性と照らし合わせてターゲットを絞り込むことが、成功に繋がります。
ここで、30代の女性をターゲットとして選んだ理由についても考えてみましょう。
この世代がライフスタイルや価値観において大きな変化を迎える時期です。
具体的には、30代は結婚、出産、育児、キャリアの変化など、人生の中で最も重要な転換点を迎えることが多い時期と考えられます。
この時期に「健康」や「家族」のために意識を高める女性が多く、生活の中での優先事項が変化し、新たなニーズが生まれるため、ターゲット層として非常に注目されています。
たとえば、30代女性は、子育てや家庭とのバランスを取りながらもキャリアを築く必要があり、その中で「時短」や「便利さ」、「家族の健康」を重視する傾向が強くなります。
これらのニーズに対応する商品やサービスは、この層に特に響きやすいと考えることができます。
また、30代は消費力が高く、自分のライフスタイルや価値観に合わせてお金を使いたいという意識が強い時期でもあると考えられています。
この年代の女性が求める商品やサービスを提供することで、より高いリピート率や顧客満足度を得ることが可能という理由から、30代の女性をターゲットとして考える、といった、必ず理由が必要となります。
自分のビジネスと照らし合わせ、どの層に一番響くかを考えることが大切です。
3. ペルソナ設定をどう実践するか
それでは、実際に具体的な例を元にペルソナを設定してみましょう。
ペルソナ設定を実践するためには、ターゲット層をもっと具体的に描くことが必要です。
そのためには、世帯年収やライフスタイルなどを含め、ターゲットが抱える悩みやニーズに合わせたペルソナを作成します。
以下は、地域密着型の食材ビジネスを例にして、ペルソナ設定を実践する方法を考えていきます。
ビジネスの内容:地元産の新鮮な食材(野菜や果物)を使った商品を提供する。
ターゲット:「地元の30代主婦層」としましょう。
名前:田中美咲(仮名)
年齢:32歳
家族構成:夫(35歳)と子ども(4歳)
住まい:地元の郊外に住むマンション
職業:パートタイム勤務(近所のカフェで働いている)
世帯年収:450万円(夫の収入とパート収入)
ライフスタイル:
主な日課: 朝はパート勤務、午後は家事や子育てをこなす。週末は家族で外出することが多い
趣味: 健康や食事に気を使い、簡単にできる料理や時短メニューを工夫している
利用しているサービス: オンラインで食材や日用品を購入、スーパーの配送サービスを利用
悩み:仕事と育児の両立で、買い物に行く時間が限られている。家族に安心して食べさせられる食品を探しているが、買い物の手間を省きたい。
ニーズ:手軽で新鮮な地元産食材を、できるだけ時間をかけずに手に入れたい。
価値観:健康や家族のことを第一に考え、地元産の新鮮な食材を選ぶことに価値を見出している。
なぜこのペルソナを設定したのか?
田中美咲さんは、パートタイム勤務をしているため、日常的に時間が限られています。
また、家族の健康を意識し、新鮮で安心な食材を選ぶことに強いこだわりを持っています。
地元産の食材に対する関心が高く、時間をかけずにそれらを購入できる方法を探しているため、地元産の食材を簡単に提供できる商品がぴったりです。
また、最近は物価も上がり、どうせなら少し金額が高くても、子供や夫のために自分のためにも良い食材をと考えている。
世帯年収450万円というのは、日常的な買い物に一定の余裕があり、地元産やオーガニック食品に対して追加のコストを支払う意欲があることを示唆しています。
では、実際に何をすれば良いのか?
商品開発:
「新鮮な地元産の野菜セット」や、「家事を効率化できる食材セット」など、時間のないパートタイム勤務の主婦層に合った商品を開発します。美咲さんが求めているのは、「手軽に調理でき、健康にも配慮された食品なので、そのニーズに合わせた商品が求められます。
メッセージ作り:
メッセージは、「仕事と家事を両立するあなたに、新鮮で簡単に使える食材を届けます」というように、彼女のライフスタイルに合った内容にします。
また、「時短できる」「家族の健康を守る」という点を強調し、忙しい毎日の中で食材を調達する時間が節約できることをアピールします。
デザイン作成:
商品パッケージや販促物は、「時短」や「便利」を意識したデザインにします。忙しい主婦層に向けて、シンプルでわかりやすく、使いやすいデザインが効果的です。
色味は、ナチュラルで落ち着いた色合い(例えば、グリーンやベージュ)を使用し、健康や安心感を伝えるようにします。
実践的なペルソナ設定チェックポイント
ターゲットの生活スタイルを理解する
どんな生活を送り、何を重視しているかを把握します。
これにより、そのターゲットが必要としている商品やサービスが見えてきます。
ターゲットの悩みやニーズを掘り下げる
例えば、「買い物に行く時間がない」「子どもに安心な食材を食べさせたい」といった具体的なニーズに焦点を当てます。
ターゲットに最も響くメッセージを作る
ターゲットが抱える悩みを解決できることを伝えるメッセージやデザインにすることで、より効果的なマーケティングが可能になります。
簡単にペルソナ設定と言われても難しい!
と思ってしまう方にオススメなのが、ChatGPTを使ってペルソナを何パターンか出してもらい、その中から最も近いものを選んだり、組み合わせたりする方法です。
さらに、イラストが得意な方は、自分でペルソナの似顔絵を描いてみるのも良いでしょう。
私は絵が苦手なので、ChatGPTにお願いして、ペルソナに合った似顔絵を描いてもらいました。
それがこちらです。
このように視覚的にペルソナを描くことで、ターゲット像がより明確になり、どのようにサービスやメッセージを提供するべきかが一層具体的に見えてきます。
そして、苦手な事は無理をせず、生成AIなどを活用してみるのもよいと思いますよ。
4. ありがちな、NGペルソナ設定
幸せになりたい女性
NG理由:幸せになりたくない女性なんてこの世にいる?漠然としすぎて、何を求めているのか意味不明です。
改善策:例えば「キャリアと家庭のバランスを取りたい30代女性」など、具体的な悩みを反映させる。
きれいになりたい女性
NG理由:「きれいになりたい」女性は大量にいるはずです。ではきれいってどんな女性?具体的な悩みやターゲット層が不明。ただの抽象的な願望に過ぎなくなってしまいます。
改善策:「40代で、肌の衰えを感じ始めている女性」など、年齢や具体的な美容の悩みに焦点を当てる。
仕事を効率化させたいビジネスマン
NG理由:効率化を求めないビジネスマンなんて、仕事できなさすぎでしょう。業界や具体的な悩みが見えないため、マーケティングがぼやける。
改善策:「営業職の30代男性、クライアントとの会議を効率化したい」など、具体的な職業や目的を絞る。
健康になりたいシニア層
NG理由:シニアになれば身体は衰え、健康を求めるのは当たり前。どんな健康問題を解決したいのかが見えないため、ターゲットが広すぎて具体的なアプローチができない。
改善策:「60代で膝の痛みに悩んでいる男性」や「糖尿病予防を意識した女性」など、具体的な悩みや症状を反映させる。
まとめ
ペルソナ設定は、ターゲットに響くメッセージやデザインを作るためだけでなく、自分のビジネスの方向性に合ったターゲット層を絞り込み、そのターゲットにぴったりの価値を提供するために行います。
ターゲットを具体的に描くことで、その人たちが求めている商品やメッセージが明確になり、マーケティングが効果的に進められます。
ターゲットを設定する際は、年齢、性別、ライフスタイル、悩み、価値観などをしっかり反映させることで、効果的なペルソナ設定ができます。
ご自身のビジネススタイルを理解するためにもこのペルソナ設定は重要といえるでしょう。
次回予告!
次回は、第3回:「自己分析(強み・弱み)と競合分析、差別化」です!
自己分析と競合分析は、ビジネスを成功に導くための重要なステップです。
ここでは、差別化ポイントをしっかりと理解し、それをデザインにどう反映させるかに焦点を当てます。
特に強調したいのは、競合との差別化を視覚的にどう表現するか。
どのように視覚的に差別化を表現できるかを掘り下げていきます!
ぜひお楽しみに!
もし一人で悩んでしまったら、お気軽にお問い合わせください。